後ハメ加工ってなに?
後ハメ加工ってなんで必要なの?
たとえば次のような場合に有効な工法です。
SD サザビーをグラデーション塗装で製作しますが、塗装しないとこの写真のような状態ですね。
SDや昔のガンプラ(旧キット)は成型色一色だったし、作るならやっぱり塗装したい。
もちろんスナップフィットの最近のキットも、塗り分けしたいパーツがあります。
このキットの場合はいちばん目立つ頭部に合わせ目が発生していて、形状が複雑。
組み立てて合わせ目消しをしてから塗装しようとするとエアブラシではマスキングしても塗装しづらい。
そこで後ハメ加工によって先に合わせ目を消してから塗装して組み立てます。
先に組み立ててしまうと塗り分けしづらいパーツを、塗装した後ではめられるように加工しておく作業というとイメージできるでしょうか。
塗装しやすい後ハメ加工を解説します。
この記事では後ハメ加工がはじめての方でも簡単に作業できるよう紹介しています。
後ハメ加工とは
塗りにくい部品や先に塗っておきたい部分など、パーツを分解した状態で塗装をし、後からハメられるように加工しておきます。
部品の形状によりさまざまな作業方法がありますが、基本的な考え方は同じです。
パーツを一部切り離してしまい、そこに後からパーツをパチンとはめられるようにしておくよう加工します。
作業に必要なもの
作業に必要な工具類は基本的に次の通りです。
- ニッパー
- デザインナイフ
普通に使っているものですね(笑)
これらに加えて必要なものがあります。それは、
- 工夫
- 空間イメージ
こう書くと仰々しいですが、それほど難しくありません。
複雑な構造の部分でもこれがイメージできて加工ができれば、塗装が楽になります。
次の項で解説していきます。
それでは工具類の解説に進みます。
ニッパー
ニッパーは先が細いものではなく、硬いものも切れるもののほうが安心です。
片刃ニッパー(薄刃ニッパー)はお勧めしません。
刃が一発で欠けてしまいます。
デザインナイフ等
少しこじる感じで使うことになるのでデザインナイフのような強度のある刃のナイフがお勧めです。
工夫
後ハメができて塗装ができる組み立て手順や状態を想像します。
それを元に手順を考えます。
複雑な構造の部分でもこれがイメージできて加工ができれば、あとあとの塗装が楽になります。
簡単にいうと「どのように加工しておくと後ではめられるのか」をイメージするってことですね。
塗装してパーツとして完成した後で「はめることができない」状態にならないように確認しながら作業を進めましょう。
ポイント
必要なものとして「工夫」と前述しましたが、そんなに難しく考える必要はありません。
後述しますが基本はニッパー、ナイフで切り込みをいれたり部分的にカットしておくという作業です。
仮組みしてその際にパーツごともしくはある程度のユニット毎に分割してみます。
「ここを後で差し込めたら塗装が簡単だな」
「ここをカットしたら後ではめられるんじゃないか」
などと想像してみれば意外と簡単に方法が見つかります。
初心者でも簡単な作業で
それではSD サザビーを例にして後ハメ加工をしていきます。
やりたいこと
やりたいことは、今回はエアブラシでの「塗装」。
いちばん目立つ頭部に合わせ目が発生していて、頭部のユニットは形状が複雑。
写真の矢印の部分は、黒いパーツと赤いパーツで構成されています。
黒いパーツを赤いパーツで挟み込んだ後で赤いパーツの合わせ目を消すことになりますが、
そうすると…
黒いパーツを先に塗装を済ませておいてから、頭部に組み込み、マスキングして頭部の赤を塗装
という手順を考えた場合に、
せっかくきれいに黒いモノアイのパーツを仕上げても、その後のやすりがけ等の作業で少なからず傷などダメージを生じさせてしまうことが想定されます。
また黒いパーツへのマスキングも思うより大変そうですね。
そこで…
赤と黒のパーツを別々に仕上げて最後に合体させられれば、ダメージもなく作業もスムースに行えます。
部品とにらめっこ、そして部品をカット
そこで少し部品とにらめっこ。
ここで先述の「工夫」が必要になります。
ここが差し込めれば塗装した後で差し込めるな~、という箇所を考えて切り取ってしまいましょう。
今回はグレーで示した矢印部(面)をカットすることでモノアイユニットを後からはめるという方針で進めます。
中央の写真のようにカットすると、右の写真のようにはめることができました。
下図の左と中央の図のように差し込まれる側を少し残してパチンとはめたら抜けずらくなるように少しづつ切り取っていきます。
一番右のように切りとりすぎると、例えば関節の軸の場合すぐに抜けてしまいます。
これで後ハメ加工の準備が終了です。
作業自体はあっという間です。
差し込む方向を考えて干渉するものがなければいけます!
組み立て作業、他
方針が決まれば後は組み立て作業です。
部品ごとに合わせ目消しや面だしをして塗装に移ります。
曲面のやすりがけには適度な厚みが曲面に追従するスポンジやすりを使用しました。
厚みや番手など様々なものがありますので気に入ったものを探してみましょう。
3種類の厚みと11種類の番手がパックになったものもあります。
面を出すにはチョッププレートという紙やすりの当て板を使用しました。
好みの番手の紙やすりを厚みのある金属プレートに貼り付けて、平らに削ってさらにエッジが出せる当て板です。
興味がありましたらこちらのレビュー記事も合わせてご覧ください。
やすりがけや部品のカットの際の削りカスなどが気になる場合にはこのような作業台はどうでしょう。
無数に穴のあいたプレートの下のトレイにプラごみやプラカスをまとめることができます。
トレイにたまったカスはまとめて捨てることができます。
約3倍の拡大レンズやLEDライトもついており細かい作業も行えます。
レビュー記事はこちらからご覧ください。
スポンサーリンク
塗装
充電式エアブラシでグラデーション塗装をして仕上げてみました。
グラデーション塗装については、初めての方、挑戦してみたい方にもわかりやすく別の記事でまとめています。
僕はいつも充電式エアブラシを使用しています。
これからエアブラシを検討しているけれど、本当に使えるの? と思っている方もいるかもしれません。
場所も取らず音も静かで特に大きな不満はありません。
練習用としても入手しやすい手ごろな値段なのでこれでまずは練習してステップアップしていっていいのではないでしょうか。
「充電式エアブラシのメリットデメリット」を別の記事でまとめていますので興味があればご覧ください。
エアブラシで塗装するなら簡易塗装ブースもあるといいでしょう。
これはダクトがついていない簡易的なものではありますが、塗料の跳ね返りを軽減してくれます。
完成写真
それでは後ハメ加工したパーツと完成写真を見ていきましょう。
後ハメ加工
モノアイパーツと頭のパーツを別々に合わせ目消しややすりがけの作業をし塗装することができました。
これをはめれば完成です。
作例
後ハメ加工ができるとパーツを分割した状態でエアブラシ塗装ができるので塗装作業が容易になりますね。
他にも様々な後ハメ加工の方法があります。
他のキット全般に応用できる後ハメの解説、紹介をHG 旧ザクを例に記事にしています。
構造が複雑なHG ゼータガンダムのフライングアーマーの後ハメ加工の解説記事はこちらからどうぞ。
後ハメ加工は初心者でも簡単のまとめ
後ハメ加工について解説してきました。
はじめての方でも簡単に作業できると思ったのではないでしょうか。
あとからパチンとはめられるようにさえできれば方法は様々ですので、他の部位、腕や膝関節なども応用できるので、各自の工夫で楽しく製作しましょう。
一度やってみると、「どうすればこの部品とこの部品が後ではめられるようになるのか」のイメージが簡単に思いつくようになると思います。
後ハメ加工ができるようになることで塗装が楽になったり、そしてなによりキットの完成度も上がっていくのではないでしょうか。
ますますプラモ製作が楽しくなると思いますのでまずは一か所でもやってみるところから始めてみましょう。
コメント|Comment