グラデーション塗装は陰影が強調されて重厚感が増すことで全体的な印象を変えることができます。
しかし塗装に対してのハードルが高いと感じている方も多いのではないでしょうか。
エアブラシの準備や塗装環境を揃えることを考えると躊躇してしまうかもしれませんが、高価なフル装備のエアブラシでなくてもグラデーション塗装はできます。
プロのモデラーの方たちのような完璧な仕上がりではなくても、うっすらグラデーションになっていたり部分的に処置されているだけで作品の印象が違って見えます。
ハンディのエアブラシでもできるよ
面とは?
初めてやるときのコツは?
この記事ではガンダムルブリスを作例として、グラデーション塗装の方法について解説します。
グラデーション塗装 ー 黒立ち上げ
下地の塗装
対象のパーツに下地となる黒を塗装します。色は黒や濃いグレーなど影となる色を選択しますが、下地はグラデーションに塗る必要はないので、今回は缶スプレーの黒のサーフェイサーを使用し塗装も兼ねています。
例 : 下地に濃いブルー → その上に薄いブルーでグラデーション
エアブラシでグラデーション塗装
各パーツの各面に対してエアブラシで塗装します。
塗料は薄めに調合し、1回の塗装で仕上げず、2~3回塗り重ねて仕上げるようにします。1回の塗装では、薄すぎるくらいのイメージで全パーツを塗り、これを繰り返して好みの濃さまで繰り返します。
最後にさらに薄めた塗料で全体にさっと吹き付けて全体のグラデーションを整えますので、この時に好みの濃さになるようなグラデーションの濃さに仕上げます。
(例 : 右肩→左肩 → 右腕 → 左腕 → 右足 → 左足 …)
面について
下の写真で印がついているところが面だとイメージしてもらえると思います。
辺に接している面ごと、実際の製造物を考えたときにパーツ分割されていると想定される部分ごとやスジボリした線の両側に分割して、そのような部分を面と考え実際にこれらをどう塗り分けるのかは製作者の判断となります。
例えば青で印がされている部分も面ではありますが、ここまで厳密にグラデーションをかけるかはそれぞれの熟練度などで判断します。
練習
手持ちの余剰パーツを使って練習をしてみましょう。
紙など平面に対しての試し塗りに加え、ランナーや余剰パーツを使って試し吹きしてみるとよりコツがつかめると思います。
下の写真は黒下地 → 1回目 → 2回目 → 3回目 の順となっています。3回目の矢印が指しているところは、ハンドピースが近すぎ、一点に集中して吹き付けてしまった状態です。
慣れないうちはいきなり吹くのではなく、対象物から離れた距離からエアブラシを吹き始め円を描くように狙った対象箇所の中心に近づけていくイメージで作業すると比較的容易にできます。
ところで、
もし水性塗料を使用しているなら家にある”アレ”で簡単に塗料を落とせるんです。
”アレ”とは?
そう、マジックリン。
マジックリンは商標なので実際にはアルカリ性の洗剤ですね。
適当に薄めた洗剤に水性ホビーカラーやタミヤ アクリル塗料で塗装済みの部品をドボンすると見る見るうちに塗料がはがせますので、その後水洗い、乾燥させれば何度でも練習ができてしまいます。
もし家になくても近所のスーパーなどで購入できますので、塗装に失敗しても何度もやり直しができますよ。
作例
HG ガンダムルブリスでグラデーション塗装を施してみました。
薄めのグラデーションに仕上げていますが白一色のシールドや脚部など、若干の陰影がつくだけで重厚感が増したのではないでしょうか。
塗装に使用するもの
塗装に使用するもの
今回は黒立ち上げと呼ばれている方法で行っています。
基本的に次のものを用意します。
- エアブラシ : 細吹きができるもの。今回は口径 0.3mm、ハンドタイプを使用。
- 塗料 :
①下地にする黒やグレーなど。立ち上げる色のものを選べばサーフェイサーをそのまま塗装として使用してもできます。エアブラシでもいいですし、缶スプレーでも問題ありません。
②塗装したい色
③薄め液
④トップコート - 塗装ブース
- 塗装ベースとクリップ
エアブラシ
バッテリーが交換できるタイプや本格的とまではいきませんがエアブラシとコンプレッサーが別体となって扱いやすい簡易タイプもあります。
塗料
水性タイプやエナメル、ラッカーなど様々あります。
どのタイプにも特徴がありますが、水性タイプ、タミヤアクリル塗料は臭いが少なく、作業する際には扱いやすいと思います。
ただ水性とはいえ、希釈する際には水ではなく推奨の薄め液を使用したほうが仕上がり等に差が出てくると思います。
塗装ブース
塗装する際には、換気をして風通しの良い場所が望ましいですが、一般家庭でプラモデル製作専用のスペースを確保するのはなかなか難しいですね。
本来ならばダクトファンを通して室外へつなげるのが望ましいですが、簡易的に段ボールを加工したり新聞紙をひいたり様々工夫をしながら作業をしていることが多いのではないでしょうか。
本格的な塗装ブースではありませんが、エアブラシ塗装での塗装ミストの飛散を軽減してくれる簡易ブースがあります。
この塗装ブースの組み立て後の完成サイズは幅35cm×高さ35cm×奥行39cmとなっており、作業する際にも十分な高さ、幅があります。
使わないときは分解して箱にしまえば場所も取りません
ハニカムを目の前にして塗装していると、なんだか上級者の気分が味わえるような(笑)
ファンやダクトがついているわけではないので、あくまで簡易的に塗料ミストの飛散を低減させるものとなりますが、ハニカムフィルターで直接巻き返してくる塗料ミストは軽減していると感じます。
ただ、缶スプレーでの塗装では圧が高いので吹き返しが多いので換気に気を使う必要があります。
背面に100均のファンを付けたり、段ボールなので改造も簡単にできますね
マジックテープがついて組み立てや分解、さらには背面に穴もついていて改造に容易なタイプもあります。
塗装ベースとクリップ
塗装ベースとクリップは部品の量でサイズや形状、必要数量が変わってきます。
塗装ベースは比較的小さなものを何個かそろえるか、大きいものにするか、作業スタイルで選べば問題ないでしょう。
塗装クリップは、クリップのサイズや形状、持ち手の太さや長さは様々ですので、大中小それぞれと部品数に応じて必要なだけ揃えましょう。
グラデーション塗装がしやすいキット、難しいキット
しやすいキット
- 面の大きいデザインのキット。
- HGよりはMG、スジボリの少ないキット、同じ機体でも一つ一つの面が大きいので塗装しやすい (塗装量は増えます)。
- HGであれば初期のガンダムに登場するジオン系モビルスーツのほうがシンプルな大きなスカートや脚のデザインのため面が広いので塗装しやすい。
難しいキット
- サイズの小さなキット。
- RGはパーツ分割が細かく、またディテールが細かい。
- 形状が複雑なデザイン (例: ガンダムルブリスの胴体部は形状が複雑で一つ一つの面が小さい)。
まとめ
グラデーション塗装は見た時のインパクトや重厚感など通常の塗装とは違う印象を与えます。
小さな面への処置はスキルアップが必要かもしれませんが、まずは自身の作品に部分的でも取り入れて見ると今までとは違う仕上がりになると思いますので挑戦してみてはいかがでしょうか。
高価な装備がなくてもグラデーション塗装はできますのでまずはやってみること。
エアブラシをもっていない方は、それほど高価なものを揃えなくても手軽に使える充電式のハンディタイプで十分グラデーション塗装ができます。
Raywoodのエアブラシレビューや小型の充電式エアブラシについて別の記事で紹介していますのでよろしければこちらからどうぞ。
RAYWOODの充電式エアブラシを使用していますが、新型やその他にも長時間使える替え用バッテリまで用意されている充電式エアブラシなども発売されていますので気に入ったものを探して、挑戦してみましょう。
他のプラモデルのレビューや製作工程も記事にしていますのでよろしければこちらからどうぞ。
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