黒立ち上げのグラデーション塗装で仕上げると陰影がついて出来上がりが違って見えますよね。
完成したキットを見ながら僕の場合はひそかにニヤニヤしてしまいます(笑)。
ただ、「とにかく」「なんとなく」全部のパーツを黒くしてしまっていませんか。
僕はとにかく全部黒く塗装してしまっています。
そうすると「黄色」や「赤色」などの明るい色を塗装したときにあれ?と思うことがあります。
思ったより発色してない
なんか色が暗い。。
何度塗り重ねても思った色にならない
この記事では、グラデーション塗装をするときに「全部黒く塗ってしまう」を前提に
- グラデーション塗装 黒立ち上げ
- 各色の塗装は黒の上に中間色を一度入れて発色よく塗装
このような方針で塗装について作例と解説をしています。
また作例では
- 「充電式エアブラシ」での塗装例
- 「水性塗料」による塗装の仕上がりの例
- 「黒の下地」に「中間色」を挟んだ「赤色」や「黄色」
- 「青味がかった白」でのガンダムの印象
これらを確認してもらえると思います。
ガンダムの色について
この記事で使用しているキットはククルスドアン版ガンダムです。
基本的にトリコロールカラーと一般的に言われている配色ですが、設定やバリエーションによって色味に違いがあります。
白
キット自体はORIGIN版の成型色違いのようですが若干緑がかった白色となっています。
RX-78ガンダムの基本色に準じていますね。
ククルスドアン版のカラーガイドによると、白にグリーンが調合されています。
一方オリジン版のカラーガイドでは白100%となっています。
単に白といっても赤みのある白や青みの白など様々です。
どちらかというと暖色系よりもグレーっぽい白や青系のほうが冷たいイメージがあります。
メカとして重厚感が出るんじゃないかと思い設定色とは異なった若干青っぽい白で仕上げてみようと思います。
個人の解釈や、自由に調色、塗装をして楽しむのもいいですよね。
トリコロールカラー
フランス語のトリコロール「三色の」とか「三色旗」からきているようですね。
ガンダムの基本の色です。
これに加えて「黄色」が使われています。
何度かガンダムを塗装されていると、黒の上に「赤」や「黄」をそのまま塗ると色がくすんでしまったり何度塗っても思った色にならないという経験をされた方もいると思います。
最近は色のついたサーフェイサーが販売しているので発色しない色の下地にはそれらを使う方も多いと思います。
でも…
僕を含めてグラデーション塗装をするときには(しなくても)、
「とにかく全部黒くしてしまう」
という方もいるかもしれません。
僕の場合はプラスティックの透け感(材料自体の透過性)を減らすために黒で一度塗っておきたい、プラスティック感を少しでも減らしたい、というあくまで個人的な「イメージ」です。
色のパーツごと手間をかけてあげればいいんですけど(笑)
「なんとなく」最初に全部黒くしてしまうんですよね。。。
次の章から、全部黒くした後で中間色をいれて狙った色にしていくという作業をしていきます。
製作(仮組み)
仮組みして、全体のバランスやどこをどうするなど事前に確認します。
改修個所の確認や塗装と組付け手順など完成に向けての全体像をイメージをしましょう。
スジボリするときは、仮組みの時にイメージをして塗装ややすりがけの前に作業を終わらせましょう。
スジボリについては別の記事でお勧め工具と写真で実際のスジボリの状態の検証をしていますので、興味があればこちらからどうぞ。
グラデーション塗装 黒立ち上げに中間色を
水性塗料をメインで使用しています。
ラッカー塗料に比べて水性塗料は臭いが少ないところがGoodです。
基本的には、下地(黒サフ、グレーサフ)はラッカー系のものでさっと処理し、水性塗料でじっくり塗装という流れで塗装をしています。
塗装に必要な基本工具類は別の記事にまとめています。
パーツを黒で塗装
黒立ち上げをするので外装パーツは黒のサーフェイサーを吹き付けます。
関節や内部パーツはメタリック系の色にしています。
塗装にはハンディタイプのエアブラシを使用しています。
手軽に使えて音も静かなので帰宅後の夜の作業でも気にせず作業できますよ。
充電式エアブラシってどのくらい使えるの?と気になっている方、興味がある方はこちらの記事もどうぞ。
白(青味がかった白)の塗装
先に述べた通り「青味がかった白」を狙って塗装していきます。
白にしていくわけですが、真っ黒に塗装した各パーツに青でグラデーションをいれます。
まず真っ黒に塗装したパーツのエッジの黒をわずかに残して黒→青のグラデーション塗装をします。
下の写真のように「黒」→ 「青」のグラデーションになります。
そのあと最終的に「白」(青味のかかった白)にしていきます。
こうすることで黒 → 白ではなく、「黒→ 青 → 白」へと滑らかなグラデーションを目指します。
青のグラデーションをいれたら続いて白の塗装をしていきます。
ここでポイント
水性塗料の場合は塗料の乾燥時間がラッカー塗料より長いので、できれば一晩ほど開けて次の色の塗装に取り掛かるのをお勧めします。
もし塗膜が厚くなってしまった場合に乾燥が不十分だと上に乗せた色と少なからず混ざってしまうことを避けるためです。
不要パーツにも塗装しておいて、それが乾燥したか確かめてから次の塗装に取り掛かるなどすると安心ですね。
白の調色ですが、白にほんのわずか青を足しました。
青を足す量は、白の塗料1ビンに対して1滴の青でも多すぎるくらいの感じで、ごくごくわずかの青を足してみました。
そして白のパーツを塗装していきます。
エッジがわかる程度のうっすらグラデーションになるように塗装しています。
なお、単純に黒→白100%のグラデーションであれば、中間色なし もしくは グレーという方向になるのではないでしょうか。
赤の塗装
黒の上に赤を塗装しても赤の発色がいまいち出ません。
何度も塗装を繰り返しても発色はいまいちで、そして塗膜がどんどん厚くなっていってしまいます。
そこで中間色として茶色で塗装します。
茶色の上に塗装することで黒の上に塗装するより断然狙った赤にすることができます。
また、段階を置くことで「黒→赤」ではなく、「黒→茶→赤」へと滑らかなグラデーションを目指します。
まず茶色でグラデーションをいれます。
次に赤で塗装をします。
黒やグレーサフで加工部分の確認や全体の仕上がりを見た後に、そのまま赤を塗装するよりも茶色→ 赤と塗ることで赤の発色がよくなります。
この方法は、グラデーション塗装をするときでなくても、赤をベタ塗りする際にも使える有効な方法です。
青の塗装
青のパーツの塗装は、白のパーツに中間色の青を塗装するときと同じ青でまとめて塗装してしまいます。
そしてその上に中間の青よりも若干あかるい青を塗装しました。
こうすることで、中間の青を塗る作業(塗料を調色したり)が簡素化できますね。
中間色で使用した青の残りの塗料にわずかに白を足して少し明るい青をつくって塗装しました。
この時に白を足しすぎると、急に明るい青になってしまうのでほとんどわからないくらいの調色をしましょう。
個人的な思いですが、白いモビルスーツとよく言われますが、「青」のイメージもあります。
とはいえ、青のパーツって上半身しかないんですよね...
やっぱり白いモビルスーツなんですね(笑)
黄の塗装
黄色の塗装は特に色の発色が出ない塗装と言われています。
「黒立ち上げ」のグラデーションを考えたときには
黒→オレンジ→部分的(中央部)に白→ 白を隠すように黄色
という手順がいいと思いますが、塗装の回数も増えてしまって面倒なので今回は
黒→オレンジ→ 黄色
の手順で塗装しました。
「白立ち上げ」の場合だと下地は黒ではなくグレーから始めて白、続いて黄色になると思います。
この場合はエッジは黒ではなく白(グレー)になりますね。
目的はどちらも黄色の発色なので、エッジの色をどうしたのかの好みで色の順番を決めてもいいでしょう。
まず黒の上にオレンジでグラデーションをいれます。
次に黄色を塗装します。
黄色には白を足しています。
白は隠ぺい力が高いので黄色に足すことで下地を隠ぺいする効果があります。
黒メタリックの塗装
メタリックで塗装したいパーツは、下地の塗装でその色そのまま使ってしまっています。
黒系メタリックであれば隠ぺい力も十分だと思います。
下地塗装のままその上にシルバーなどで部分的にアクセントをつけるだけでも情報量が増えていいでしょう。
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塗装のコツ
グラデーション塗装に慣れてくると狙ったところに塗装することができると思いますが、初めて挑戦するという方もいると思います。
狙った場所に適量を塗布するのはやはり経験を積んでいくことにはなるのですが、そんなに気負う必要はありません。
グラデーションになっていれば自分が失敗したと思っても後で見ればそれほどわかりませんし、それがキットの味わいにもなるんじゃないでしょうか。
エアブラシで狙ったところに塗布する
グラデーション塗装は細かな場所を狙って適量を吹き付ける作業になるのでエアブラシの操作が難しいですよね。
そこでコツとしては、
離れたところから適量の塗料をふきながら、そのままぐるぐると回しながら狙った場所に近づけて塗布、
こんなイメージで作業してみてはどうでしょうか。
図解を含めて別の記事にコツをまとめていますのでこちらからご覧ください。
やすりがけ
このキットの製作では、やすりがけは600番まで使用しています。
一般的に荒い番手から→ 800→1000番程度まで順番に磨き上げたりしていると思います。
最終的に艶消しコートで仕上げるケースが多いのですが、艶消しの場合はペーパーやすりで600番程度でもそれほど気にならないかなと思っています。
その際に、おすすめするのがペーパーやすりの当て板です。
このキットの製作でも使用していますが面やエッジがきれいにできるのでお勧めです。
何度も重ね塗りをするので細かな傷は結構見えなくなったりしますね。
艶消しで仕上げる場合は僕はほぼ600番、やっても800番までで仕上がりに満足しています。
もしつるつるな表面が良ければ番手の高いやすりで仕上げてください。
仕上げ
それではデカールとトップコートで仕上げです。
デカール
全体のバランスを見ながらデカールを自由に貼っていきましょう。
デカールは水でびしゃびしゃにしなくても台紙の裏から水分を吸収することでデカールののりが流れ出さずに貼ることができるようになります。
水分を含ませたスポンジの上にデカールを放置すると台紙にちょうどよい水分が吸収されのりが溶けてデカールを貼ることができます。
合わせてマークセッターや、必要に応じてマークソフターを使ってデカールを貼っていきましょう。
水性塗料で塗装した場合はこれらの溶剤が塗膜を傷めやすいです。
手早い作業で残った水分の拭き取りまで行うのがきれいに仕上げるポイントです。
トップコート
最後にトップコートをして完成です。
水性塗料で塗装した場合には、水性塗料に使えるトップコートを使用しましょう。
なお、艶消しコートはそのまま塗布すると濃度が高くてエアブラシによっては圧が足りないかもしれません。
その時は少々希釈して使用しましょう。
希釈は専用の薄め液で希釈しましょうね。
少々話がそれますが、ここまで塗装をしてきて順調に仕上がって「最後の仕上げ」の艶消しトップコートで失敗したなんて経験はありませんか。
塗り直しなんてしたくないしどうしよう。。。
そのような時には塗りなおさなくてもリカバリできるかもしれません。
艶消しコートが失敗したときの対処について別の記事でまとめていますので参考にしてもらえればと思います。
作例
全体的に薄めのグラデーションに仕上げています。
白といってもいろいろな白があります。
寒色系の白の色合いにしてみたことで全体の雰囲気も変わってきますね。
黒立ち上げに中間色をいれて発色させるのまとめ
黒立ち上げの時には黒から立ち上げていくので黒の上に色を乗せていくことになります。
色によってなかなか思った色が出せないことがありますが、中間色をいれることで思った色に近い表現が出せるのではないでしょうか。
作例ではうっすらとグラデーションををいれて仕上げていますが、もっと濃いグラデーションで仕上げるとより効果(色の差)がわかりやすいと思います。
また、作例は充電式エアブラシと水性塗料の組み合わせです。
ラッカー系塗料でエアブラシ塗装が塗装の王道というイメージが(個人的には)強いですが、「水性塗料」と「充電式エアブラシ」でも塗装が楽しめます。
これからエアブラシに挑戦してみたいけどハンディタイプでどのくらい塗装ってできるの?と思っている方もいるとおもいますが別の記事にレビューをまとめています。
本記事が充電式エアブラシでの塗装の具合や水性塗料を使用したグラデーション塗装の参考となればうれしいです。
難しそうでもやってみると思いのほかうまくできてしまうと思うのでグラデーション塗装に興味があればぜひチャレンジしてみてはどうでしょうか。
初めてでもうっすら陰影さえつけられればグラデーションぽく見えますよ。
なお、トリコロールカラーのパーツはキャンディー塗装で仕上げても高級感のある仕上がりになると思います。
黒立ち上げとキャンディ塗装の合わせ技での塗装に関して別の記事にまとめていますのでご興味があればこちらもどうぞ。
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