プラモ製作では仕上げにトップコートをする場合が多いと思います。
ガンプラやロボット系だと「艶消しコート」が多いのではないでしょうか。
塗装していなくても艶消しコートをするだけでも、プラスティック感を減らしてくれて質感が上がりますよね。
ただ時々失敗もしてしまいます。
特に缶スプレーの場合、手軽に使える反面、圧が強いので少々慣れが必要です。
慣れていても失敗するときもありますし。
症状としては「白化」や「白濁」「厚吹き」などと呼ばれていますが、白く濁った状態になってしまいます。
せっかく塗装したのにやり直ししたくない。。。
リカバリーできるの?
「最終仕上げ」の段階での艶消し作業で失敗すると製作中のキットだけでなく精神的ダメージも大きいですよね。
しかし、実はある方法でリカバリできるんです。
この記事ではこのリカバリの方法を解説します。
つや消しコート失敗例
失敗したときの症状から見ていきましょう。
フチのところが白くなってしまいました。
これは吹き付けすぎたときの症状です。
そして全体的にも白く濁った状態になってしまっています。
これは湿度の高いとき、例えば雨が降っている日に湿度に気を遣わずに艶消しコートをしてしまったときなどに生じてしまいます。
なお、この記事では水性塗料と水性塗料用トップコートを使用したときの例で解説していきます。
つや消しコート失敗、修正できるの?
そこで、こうなってしまったときにリカバリ(復旧)ってできるのでしょうか。
「いちおう」できます。
完成度の点で満足するレベルに個人差があると思いますので「いちおう」とあえてつけておきます。
リカバリの方法
一般的にはこれらの方法が考えられます。
- 薄め液で溶かす
- けずる
- 塗り直し
- 光沢コートをふく
「薄め液で溶かす」、「削る」はうまく作業しないとさらに傷口を広げてしまうことにもなりかねません。
水性塗料であれば溶剤にドボンして塗装をすべてはがしてしまい、一から「塗り直し」も可能ではあります。
塗り直しの場合には調色した色であれば同じ色を作れるかわかりませんし、もう一度塗ってもまったく同じ色に塗れないときもあったりと、そもそも手間がかかりますよね。
そこでこの記事では「光沢コートをふく」について解説していきます。
光沢コートを吹く
失敗したパーツの上から光沢のトップコートを吹いてみましょう。
この写真のように白濁がなくなりました。
逆に艶もでてきていますね。
この上から艶消しコートを吹き付けましょう。
ただし、ポイントがあります。
リカバリするときのポイント
これまで書いてきたように光沢を吹いてその上からまた艶消しを吹くという流れて白濁など失敗した症状はわからなくなりました。
ただ、つや消しコートをしたものとリカバリしていないパーツを比べると艶のレベルが変わってしまいました。
下の写真の左のパーツはリカバリなし(つや消しコートのみ)、右のパーツがリカバリした後の状態です。
さらにいうと、右のものはリカバリで缶スプレーの艶消しコートを2度吹きしています。
塗布量や技量、も関係するのかもしれませんがこのような状態です。
この差は艶消しの下地の表面状態の違いからきているのではないでしょうか(推測ではありますが)。
そこで再度艶消しコートを重ねてみますが、艶消しの効果を上げて吹き付けます。
(実際には効果を上げるというよりは原液の性能より下げないというほうが正しいでしょうか)
どういうことかというと、ここからはエアブラシを使用して艶消しコート剤を希釈せず(もしくは若干希釈)に、つや消しの効果をできるだけそのままの状態で吹き付けます。
エア圧が低いと希釈していない艶消しコートは吹き出しづらいかもしれませんが、充電式エアブラシでも吹き付けることができました。
希釈せず艶消しコートを吹きつけた状態が下の写真です。
艶も落ち着いて艶消し状態になりました。
ただこうして並べると色の沈み具合が若干ちがうかな、とは感じますが、言われなければわからないレベルではないでしょうか。
なおこの記事の検証では艶消しコートを缶スプレー~液剤と複数回塗り重ねていますが、複数回塗り重ねが必須ということではありません。
缶スプレーだけ、艶消しコートの原液(適度に希釈)の作業だけのようにそれぞれでも構わないです。
リカバリ対象がパーツ1個だけなら今回のように艶の比較も不要ですし、どこまでこだわるかによって作業すればよいと思いますので各自の状況によって作業してください。
ただ下地の色や処理、またはトップコートの希釈量や状態によって仕上がりに違いが生じると思いますので試し吹きなどで確認してから作業をすることをお勧めします。
色を発色させるために中間色をいれて塗装していたり、せっかくトライしたグラデーション塗装をした後など、手間をかけた後の失敗が精神的につらいですよね。
なお塗装に関連して、中間色をいれて黄色や赤色を発色させたり、グラデーション塗装に関しては別の記事にまとめています。
自分なりのコツなどまとめていますのでチャレンジしてみたいという方、興味がある方はこちらからどうぞ。
「初めてのグラデーション塗装」
「中間色をいれて発色を試す」
おさらい
白濁してしまったら、光沢コートで白濁を見えにくくし、その上から艶消しを吹く。
リカバリ自体は簡単ですね
缶スプレーでも白濁など十分見えにくくなりますし、もちろんエアブラシでも。
ただ、仕上がりの状態の調整をするならエアブラシのほうがコート剤の濃度が調整できるのでもし持っていなければ1本もっているといいですよね。
といいますか、エアブラシ自体持っていればそもそも塗装にも使えるので高価なものでなくてもエアブラシ塗装からリカバリまでプラモ製作の楽しみの幅が広がります。
エアブラシを持っていない方、検討中の方は「充電式エアブラシってどのくらい使えるの?」についてレビューを別の記事にまとめていますのでこちらからどうぞ。
最終的な仕上がり(作例)
リカバリしたパーツとしていないパーツが混ざっている作例です。
本記事ではHG zガンダムのシールドを例に作業しています。
リカバリしているかどうかはよくわからないレベルにはできていると思います。
なお、ゼータガンダムを全塗装してその際のフライングアーマーの「後ハメ加工」の解説を別の記事にまとめています。
ご興味がある方はこちらからどうぞ。
スポンサーリンク
トップコートの種類
トップコートには水性塗料用とラッカー系があり、艶の違いで3種類あります。
水性塗料で塗装した上から水性塗料用ではないトップコートを吹いてしまうと塗装にダメージを与えてしまいます。
確認して使用しましょう。
缶スプレーは手軽に使える点が魅力ですが基本的に圧が強いので少々慣れが必要かもしれません。
一方で溶剤の微調整や細かく吹きたい場合にはエアブラシのほうが作業はしやすいと思います。
つや消し/艶消し
表面の艶をけしてマットな状態に仕上げることができます。
ガンプラなどではよく使われるトップコートではないでしょうか。
光沢
艶感のある仕上がりになります。
メタリックや光沢のある塗装をしたときによく使用されます。
半光沢
つや消しと光沢の中間のような艶感です。
トップコートの吹き方
トップコートをするときの注意点はいろいろありますが以下の点に注意して作業してみましょう。
- よく混ぜる
缶スプレーの場合には、缶の中に攪拌玉が入っています(缶を振るとカラカラと音がしますよね)。
しっかりと振って沈殿している成分を混ぜます。
縦にガチャガチャ振るのではなく、この球が缶の底をぐるぐる回るように缶の上部を持ってくるくる回すようにふりましょう。
エアブラシの場合は、ビンの底にたまっているので混ぜ棒でよく混ぜて使用しましょう。 - 距離をとる
吹き付けるときは一定の距離を保って吹き付けましょう。
動かす速度や噴射量にもよりますが近づけすぎず10-20cmくらいは対象から離して吹き付けましょう。 - 適量で
吹きすぎず、少なすぎず。 - 吹き始めと吹き終わりに注意
特に缶スプレーの場合にはいきなり噴射しますので、対象物から外れたところから吹き出しはじめて、キットを通過するまで吹き続け噴射をやめる。対象物に直接吹き始め吹き終わりが来ないように意識して作業しましょう。 - 手を止めない
一点に集中して吹き付けないようにしましょう。 - 湿度
雨の日の作業は湿度が高いので避けた方が無難です。
簡単に言うと、
よく混ぜて、
なるべく晴れた日(湿度の低い日)に、
手早く吹き付けをしましょう。
つや消しコート失敗、修正できるの?のまとめ
手軽に作品のクオリティをあげられる艶消しコートですが、プラモ製作にそこそこ慣れていても失敗はしてしまいます。
そのような時に多少の手間でリカバリする方法を解説しました。
缶スプレーでもエアブラシでもどちらでもリカバリはできますが、調整の融通が利くエアブラシをお勧めします。
この記事が艶消しコートを失敗したときのリカバリのお役に立てれば幸いです。
コメント|Comment